研究開発体制

  • 「貼る」のさらに先へ。
    開発しているのはラベルの未来です

    ラベルで社会はより良い方向に変えられる、私たちはそう信じています。

  • ウエットティッシュ用ラベル素材しっとりした開け心地で繰り返し貼れる

    バランスのとれた粘着力が「しっかり貼付する」のに「しっとり剥がせる」を可能にしました。

  • 高平滑グラシン剥離紙使用ラベル素材ポリエチレンラミネート加工なしでもきれいで滑らか

    見た目の美しさだけでなく、ラベル素材全体が環境に配慮した設計になっている点も強みです。

  • ホットメルト粘着剤使用ラベル素材ラベル製造・廃棄時のCO2排出量を約25%削減

    リンテックが目指すCO2排出量50%以上削減に貢献する強力な製品と期待されています。

  • モノマテリアルラベル素材PET製容器とのモノマテリアル化を実現

    リサイクル効率化の鍵は、容器との単一素材化と洗浄工程でのインク除去機能付与にありました。

SUCCESS STORY

ラベル業界の常識を塗り替えた
易貼付・ブリスターフリーラベル素材

簡単にきれいに貼れるラベルはないか。プラスチックに貼っても膨れが起きないラベルはないか。長年、ラベル業界に横たわっていたこの問題に終止符を打った製品、それが「易貼付・ブリスターフリーラベル素材」です。発表時、業界がざわついたというこの素材、一体どのように生まれたのでしょうか。

  • 加瀬丘雅

    粘着材料研究室

    加瀬丘雅

    2008年入社。新技術の安定化までに立ち塞がっていた数多くの壁を、研究室の垣根を越えた合同チームで乗り越えた。スケジュール通りに進めるコツは「次の課題を予想して複数の処方を持っておく」だそう。
  • 原田健司

    技術・開発室

    原田健司

    1998年入社。完成した易貼付・ブリスターフリーラベル素材はその性能から「これなら売れるでしょう」と信じて開発業務を進めていた。ただ内心は「何かあれば自分に責任がある」とドキドキしていた。
  • 山田晃史

    粘着材料研究室

    山田晃史

    2002年入社。お客様のニーズに常に最適な材料で応え続ける粘着材料のエキスパート。次のアイデアについて伺っても「言えません」の一点張り。意志だけでなく口も堅い。

※掲載内容は取材時点のものになります

ラベル業界を
悩ませ続けてきた「エア問題」

原田

原田

私たちの業界で“エアをかむ”と言うのですが、粘着ラベルってサイズが大きければ大きいほど貼るときに空気が入りやすく、その部分が膨らんでしまってきれいに貼れないんです。この問題はラベル業界に古くから存在していて、私が入社した頃にはすでにニーズとしてあったものの、対応できる商品がなくずっと歯がゆい思いをしていました。

山田

山田

エア問題でもうひとつ存在していたのが「ブリスター」。プラスチックにラベルを貼ると、熱が掛かったときにプラスチックからガスが出て、ブリスターと呼ばれる膨れが発生してしまう現象のことで、こちらもさまざまな業界・メーカーなどから「膨れないラベルはありませんか」と要望を受け続けていました。

加瀬

加瀬

ブリスターはガラスでは発生せず、プラスチックに貼ったときのみ起きる現象。しかしガラスは重くて割れやすいから、ガラス製品はどんどんプラスチック製品に置き換わっています。このままでは世の中のプラスチック化の流れに、ラベルは取り残されてしまう恐れがありました。

ラベル業界を悩ませ続けてきた「エア問題」

粘着面の溝で
エアを逃がす革新的技術

加瀬

加瀬

その長くラベル業界を悩ませてきた問題を解決する技術が、2014年にリンテックの素材設計研究室とプロセス開発室から生まれました。粘着面に溝をつけることでエアが発生しにくくなることを発見したのです。

原田

原田

簡単に言うと、干からびた田んぼのような溝をつけることで、エアが溝を通じて外に出ていくという仕組み。これにより貼るときにエアがかみにくくなりますし、ブリスターが発生しても溝がガスを逃がしてくれるためラベルが膨れません。ずっとラベル業界で課題としてあった「易貼付性」と「耐ブリスター性」の二つをかなえる、まさに画期的な技術でした。

山田

山田

初めてデータを見たとき「これはすごい」と驚きました。ついにお客様のニーズを受け止め、しっかりと返せる技術が出てきたのですから。リンテックの歴史のなかでもかなり革新的な出来事だと感じました。

立ちはだかった壁は
「技術の安定化」

山田

山田

ただ新しい技術ができたとはいえ、まだまだ研究段階の話。お客様の使い方まで想定しているわけではありません。いわば「こんな技術ができたけれど、どう?」というレベル。ここから品質を安定させ、かつ安価で提供できるようラベルの設計、製造方法をブラッシュアップするのが私たちの役目でした。

加瀬

加瀬

その“安定化”が本当に大変でした。特に溝の細さと間隔を制御するのに苦労しました。この溝、適当に付けているように見えますが、実は緻密に設計されたもの。溝の検査方法など細かく条件が決められているのです。試作や検査など、工場の多大な協力のもと安定した品質の製品を立ち上げることができました。

原田

原田

大きさなど溝のでき方が変わると粘着力も変わってしまうため、溝の安定化は絶対に必要。ラベルにとって粘着力は命ですから。適切な製造条件を見いだすのは困難を極めており、その頃は加瀬さんが頭を抱えている姿をよく目撃しました。

立ちはだかった壁は「技術の安定化」

研究所の垣根を越えた
開発体制

山田

山田

今回は材料だけでなく製造工程もポイントになる製品。そのため素材設計研究室、プロセス開発研究室と粘着剤の塗り方について議論したり、営業の原田さんとお客様が実際に使用されるシーンについて相談したり、さまざまな人と関わり合いながら進めました。それぞれの部隊が協力しながら、同じ目線で開発ができたのが、無事上市できた理由だったと思います。

原田

原田

確かに「易貼付・ブリスターフリーラベル素材」の開発は、これまでにない新しい取り組みが多いなか、よく会社はチャレンジさせてくれたものだと思います。ただそのぶん期待が大きく、会社からのプレッシャーは相当なものがありましたが(笑)。

加瀬

加瀬

そのプレッシャーは研究所にも伝わってきていました。ただ、山田さんが言うようにチームで動くことにより相乗効果が生まれ、いろんな視点で物事を見ることができ、開発の大きな力になりました。一人ではくじけていたかもしれません。

研究所の垣根を越えた開発体制

展示会ブースを
ザワザワさせた新素材

加瀬

加瀬

2015年の展示会で一度試作品を出展したときは、「リンテックが何かとんでもない製品を作っているぞ」と、ブースの周りがざわついたと聞きました。それほどインパクトが大きかったのでしょう。

原田

原田

展示会からさらに品質を向上させたり、カスタマイズの幅を広げたり、UL/CULの認証を取得して、ようやく販売開始にこぎつけたのが2017年。初めてお客様の購入につながったときはもう感無量でした。しかも、そのお客様はもともと他社製品を使われていたが「性能がいいのでLivastaにしましょう」と言っていただけたのですから、営業担当冥利に尽きますよ。

山田

山田

私も「易貼付・ブリスターフリーラベル素材のおかげで貼り損じがなくなり、ラベルのロスが大幅に低減しました」というお客様の声を聞いたときは嬉しかったですね。私たちの努力がお客様のメリットにしっかりとつながったことは、やはり大きな手応えを感じますし、次への原動力になります。

重要なのは
「溝を付けよう」という発想

山田

山田

いま易貼付・ブリスターフリーラベル素材の開発で得た技術を別の製品に生かそうと研究に取り組んでいるところ。まだ詳しいことは言えませんが、次の製品もお客様に喜んでいただけるものと信じています。

原田

原田

粘着剤に溝を作る仕組みは他の製品でも役立ちそうな予感は私もしています。今回の開発で実感したのは発想の大切さ。“溝をつくる技術”の先進性もさることながら、そもそもの“溝を付けたらどうだろう”という発想自体がかなりとがっていたと思います。

加瀬

加瀬

とがっていたり、ぶっ飛んでいたりするような発想でも、きちんと製品に落とし込める優秀な研究員がここにはたくさんいますからね(笑)。これからも当社の研究所ならではの発想で、また業界をざわつかせるような製品を生み出したいです。

SUCCESS STORY

品番検索・技術資料

品番検索・技術資料

印刷用粘着紙と印刷用粘着フィルム、可変情報印字用ラベル素材のラインアップをシリーズごとにご紹介しています。各製品の基材色や、粘着剤のタイプなどをご確認いただけます。

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